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【IRから読み解く】SaaS企業でパートナー売上比率約50%を達成するには?シナジーを生む協業事例|AI inside株式会社

【IRから読み解く】SaaS企業でパートナー売上比率約50%を達成するには?シナジーを生む協業事例|AI inside株式会社

2022.8.10

  • 決算・IR情報

  • アライアンス戦略

  • SaaS / サブスクリプション

上場企業のIRを読み解くと、売上のトップラインを伸ばすための打ち手を考察することが可能です。本記事では、AI inside株式会社の事業の拡大戦略について読み解いていきます。

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AI inside株式会社のビジネスとは?

AI inside株式会社は、ノーコードAIモデル作成ツール「Learning Center」、AIの運用のためのエッジコンピュータ「AI inside Cube」、手書き対応AI-OCR「DX Suite」などのAIプラットフォームを提供しています。2015年に創業し、2019年に東京証券取引所マザーズ(現東証グロース)に株式を上場させました。

売上高は、月額の従量費用や固定費用などのリカーリング型売上と、初期費用などのセリング型売上で構成されています。2022年3月期決算説明資料によると、NTT西日本おまかせAI-OCR」の不更新案件やセリング型売上減少の影響で全体売上は減少していますが、リカーリング型の売上は右肩上がりであることから、事業が着実に成長していることがわかります。

売上高の内訳を見ると、2022年3月期にはパートナー販売が前年同期比+39.8%の1,438百万円(NTT西日本「おまかせAI-OCR」を除く)と伸長し、パートナービジネスが直販の売上高とほぼ同等となっています。また、第7期有価証券報告書では、パートナー販売における契約数の割合が直販比率よりも高いことが述べられています。

また、解約率(NTT西日本「おまかせAI-OCR」を除く)が1%未満と低水準で推移していることも特徴です。2022年3月期決算説明資料で以下のように述べられていたことから、自社のリソースをカスタマーサクセスに注力させることにより、LTV向上に繋がっていると予想されます。

カスタマーサポートにおける組織運営方針:カスタマーサポートはパートナーが行う場合があります。当社はユーザーに並走して課題解決を行う、カスタマーサクセスにフォーカスします。

以上より、AI inside株式会社はパートナー販売を上手く活用することで順調に売上を拡大させていることが伺えますが、実際にどのようなパートナービジネスを行っているのでしょうか。

相性の良いパートナーとの協業

以上がAI inside株式会社のビジネスモデルです。今回は、パートナー販売を行っているDX Suiteにおけるパートナービジネス戦略をご紹介していきます。

まずは、パートナー販売の歴史について業容拡大の年表から紐解いていきます。2015年の創業後、製品開発・実証実験を行いプロダクト品質の向上を図った後、2017年のDX Suiteローンチとほぼ同時期にパートナー販売制度を開始しました。創業初期からパートナー販売に注力しており、2021年6月にはパートナー社数が100社以上となっています

DX Suiteのパートナー一覧を見てみると、特徴として大手SIerが多いことが挙げられます。特に、金融系の大手Slerは紙文書を沢山扱う顧客を抱えているため、相性の良いパートナー企業といえるでしょう。

また、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)サービスを提供するパートナー企業が多いことも特徴です。AI-OCR技術とRPA技術を組み合わせることで、紙文書のデータ化だけでなくその後の単純作業の自動化までできるため、事務作業における強力なサポートが可能になります。同じ課題を抱える顧客に、自社のみでは開発できない高品質なソリューション提供を可能にしています。

2022年3月期決算説明資料によると、DX Suiteのユーザー数は、2022年第4四半期で過去最高値の38,755人を更新し拡大しています。先述の通り、2022年3月期はパートナー販売における契約数の割合が直販比率よりも高くなっていることから、ユーザー数拡大の理由としてパートナービジネスでの成功が大きいことが伺えます。

以上より、金融系の大手SIerやRPAサービスを提供している企業など、自社と相性の良い業種のパートナー企業を選定し、その上で社数を増やしていくことで、パートナービジネスによる売上高・ユーザー数拡大に成功していることがわかります。

M&AによるAI人材育成の強化

AI inside株式会社は、2022年3月にAI未経験の社員でもビジネスでAIを活用できるサービスを提供する株式会社aiforce solutionsを子会社化したことを発表しました。株式会社aiforce solutionsの予測AI技術ととAI inside株式会社の画像認識AI技術を掛け合わせて、より高品質なDX教育サービスを提供するための戦略のようです。

2022年に経済産業省・厚生労働省・文部科学省が発表した「2022年版 ものづくり白書」によると、IT人材に対してのアンケートで量・質共に「大幅に不足している」「やや不足している」と回答した人の割合が、80%を超えています。このことから、AI・DX人材育成支援の市場ニーズに対応するための協業であることが伺えます。

今後の事業方針におけるアライアンス戦略

今後の方針としては、エンタープライズ獲得のためにISVやSlerとのアライアンスや、SMB獲得のためにパートナー販売をさらに強化していくようです。自社のリソースのみではアプローチできない企業に対して、パートナー企業がすでに持っている顧客基盤を活用することで、効率的な顧客開拓が可能となる施策です。

また、DX Suiteの機能の一つである「Intelligent OCR」は多言語対応を進め、海外進出を行う方針です。国内だけでなく海外のパートナーと共に販売も行うようですので、今後の海外展開における販売戦略に注目していく必要があるでしょう。

まとめ

AI inside株式会社は、相性の良いパートナーと長期的に良好な関係を築くことで、安定的に売上高を拡大しています。シナジーが生まれるパートナーを選定しコアビジネスをしっかりと把握した上で協業体制を構築すれば、自社ではアプローチできない顧客を開拓できたり、より高品質なサービス開発ができるでしょう。

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