【IR資料から読み解く】M&AにおけるTAM拡大戦略の実態。売上比率20%のインダイレクトチャネル|freee株式会社
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アライアンス戦略

上場企業のIRを読み解くと、売上のトップラインを伸ばすための打ち手を考察することが可能です。本記事では、freee株式会社のパートナー企業を活用した顧客獲得戦略について読み解いていきます。

「ごく一部の代理店しか売ってくれない・・・」
「スプシでの契約管理やメールでの情報共有など、業務が煩雑」
「代理店データが可視化できず、施策も意思決定も属人化している」
貴社のパートナービジネス・代理店販売に、このような課題はありませんか?
「代理店ビジネスの業務を効率化し、売上を伸ばしたい」
とお考えなら、パートナーサクセスにお任せください。
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2019年に上場したfreee株式会社は、スモールビジネス向けにクラウド会計サービスとクラウド人事・労務サービスを提供している企業です。「誰もが自由に経営できる統合経営型プラットフォーム」に実現を目指し、バックオフィスに関わる事業領域を拡大させています。

また、ARRは2022年には前連結会計年度比が38.3%増の約145億円です。freeeサインやTaxnoteが連結されたARRも含んだ決算です。
ちなみにARRが100億円を超えているSaaS企業には、Appier Group(158億円)、ユーザベース(129.5億円)、マネーフォワード(129億円)などがあります。数あるSaaS企業の中でトップレベルの売上を誇る同社は、どのように売上を拡大しているのでしょうか。

まずは、ビジネスモデル全体像から見ていきましょう。直販だけでなく、会計事務所、代理店、金融機関と連携して拡販を行っていることがわかります。SMB向けのサービスを展開しているため、地方などでは金融機関や会計事務所がメインでサービス販売しているのではないでしょうか。


顧客のフェーズごとに様々な顧客獲得チャネルを設定し、Web等を通して接点を持ちにくい中小企業に対しても網羅的にアプローチしています。有料顧客の獲得は、2021年対比36.6%の成長率で約38万5000社ほどです。
2022年6月期の決算発表では、主に会計事務所経由のインダイレクトチャネルARRは全体の20%を占めていたそうです。売上だと約29億円。顧客数だと約7.7万社の数がパートナー経由になります。

また、確定申告期のQ3に広告宣伝費を増やしおり、新規顧客を開拓していることがわかります。S&M(Sales and Marketing)に積極的に投資していくことで、売上増加を重要視しているのではないでしょうか。
実際に2021年の通期決算会では、下記のように述べています。
S&M については、基本的には今までと変わらず、ライフタイムバリューとカスタマーア クイジションコストのバランスを見ながら、ユニットエコノミクスに問題がないのであれば積極的 に投資をしていくという考え方を継続していきます。 一方で、解約率は下がってきており、これはライフタイムが伸びてきていることを指しています。 結果として、積極的な投資をしても、ユニットエコノミクスで見たときには十分に見合うような水 準になってきているというのも後押しになってきているので、中長期的な成長に向けて、S&M へ の投資も行っていくという考え方でおります。 一方で当然、規律が必要になってきますので、それはライフタイムバリューとカスタマーアクイジ ションコストのバランスをしっかり見ながら、その規律のもとで投資をしていくのが S&M に対す る考え方です。
売上20%を占めるパートナーページは、どのようなページなのでしょうか。
FV(First View)は、下記のようなページです。わかりやすくどのようなプログラムがあるか記載されています。



また、会計事務所に対して認定アドバイザー制度を設けています。中小企業はツールを導入する際の基準として「信頼を置ける人」に重点を置く傾向にあるため、日頃からバックオフィスのサポートを行っている会計事務所と連携することはかなり有効な施策だと考えられます。



freee株式会社は、上場後に会計・人事労務サービスにおいて幅広い機能をカバーするために、M&Aを積極的に行っています。
2022年3月には、電子契約サービス「NINJA SIGN」を提供する株式会社サイトビジットを子会社化し、サービス内で電子契約を簡単に行うことが可能になりました。電子契約サービスは2020年のコロナウイルス蔓延からトレンドとなり、まだまだ勃興したての領域であるため、今後の市場の伸びも期待した上での戦略ではないでしょうか。

さらに、2022年6月には税理士のためのクラウド税務・会計・給与システム「A-SaaS」を提供するMikatus株式会社を子会社化しました。
freee株式会社は、士業と連携することで販路を拡大しているため、プロダクトラインナップを強化することで、会計事務所の方々向けに税務プロダクト価値を高めていることが読み取れます。その後、中小企業の新規獲得を見込んだ買収かと思います。

直接的にセールスの代理店戦略ではありませんが、freee株式会社は、プロダクトの拡散における戦略としてAPIを公開しています。
メリットはパートナーセールスと同じで、「自分達以外の力を用いて、ユーザーを増やすことができる」という点だと考えられます。流れとしては以下のようなイメージです。
APIを公開する=freee以外の企業がfreeeの機能を使用できるようになる
誰かがfreeeのAPIを使用して、自身のプロダクトとの連携を行う
ユーザーは連携したプロダクトとfreeeを組み合わせることで新たな価値を得ることができるようになる
新たな価値を求めてfreeeのユーザーが増える(連携したプロダクトのユーザーも増加し得る)
Airレジとfreee会計との連携機能を実装
ユーザーはAirレジとfreeeを組み合わせることで、売上データの自動記帳という価値を得ることができるようになる
Airレジを使用しているユーザーが、上記の価値を得るためにfreeeを使用し始める

freee株式会社の特徴として、事業開発、アライアンス、M&Aを進め、バックオフィス領域全般にTAMを拡大しています。M&Aを行うことでTAMの大きさの増加、プロダクト強化を行なっていることがfreee株式会社の特徴かと思います。
拡大しているTAMに対し、顧客獲得の余地はまだまだ大きいことが現状です。クラウド会計の認知自体を広めつつ、クロスセルなどを行いながらARRを伸ばしていきそうです。
freee株式会社は、M&Aを通してプロダクト強化・TAMを広げているのが特徴です。
シナジー効果のあるM&A、プロダクト開発を行いながら、今後もCACやLTVに考慮しつつ、顧客獲得に投資していくのではないでしょうか。また、直販だけではなく、それに伴いインダイレクトチャネルも活用していくことが考えられるため、freee株式会社のパートナービジネスの動向には今後も着目していきます。

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