企業向け製品国内市場シェア 19年連続No.1を実現するパートナー戦略。秘訣はパートナー企業のビジネス拡大への貢献|トレンドマイクロ株式会社
ベンダーインタビュー
代理店・パートナー育成
パートナービジネス戦略

※本インタビュー内容は、2023年11月時点の内容です。
秋國:こんにちは。パートナーサクセスの秋國です。本日は、コンシューマー向け、法人向けにサイバーセキュリティ事業を行っているトレンドマイクロ株式会社様にお伺いしています。今回お話をお聞きするのは、和木様と石川様です。本日はよろしくお願いいたします。
和木、石川:よろしくお願いします。
秋國:早速ですが、お二人の経歴についてお聞かせください。
和木:元々は商社で5年ほど営業所に勤務しておりました。パソコンが世の中に浸透し始めているときで、IT化の流れを感じ財務会計の専門ベンダー企業を経て2001年にマイクロソフトに転職し2013年まで勤務していました。
その後、今のトレンドマイクロに入社し現在は、流通の営業チームとパートナーマーケティングを行っております。
石川:私は、2002年にトレンドマイクロに入社し、流通様を担当する営業でした。
そのころにマーケ部門がパートナープログラムをローンチしましたが、現場にマッチしていないことを感じて、2005年からマーケ部門にフリーエージェントして現在に至っています。
トレンドマイクロ株式会社 パートナービジネス推進部 部長 Director 和木 正浩氏
マイクロソフト株式会社において、SMBマーケットに向けた業種別新規ビジネス部門の立ち上げや、日系大手PCメーカーのグローバル拡販をOEMビジネスとしてリード。2013年トレンドマイクロ株式会社に入社後、コンシューマ市場に向けたOEMやISP営業部門の責任者やグローバルコンシューマビジネス開発の責任者を歴任後、新領域へのビジネス開発を目的にIoTビジネス開発部隊を立ち上げる。2020年よりパートナーマーケティングを担当、2022年より流通営業部門の責任者も兼務。
トレンドマイクロ株式会社 パートナービジネス推進部 パートナーマーケティンググループ Manager 石川 徹治氏
2002年トレンドマイクロに入社、パートナー営業部門に配属。約3年間流通パートナーを担当。その後2005年にトレンドマイクロとして初となるパートナープログラムローンチをきっかけに、パートナーマーケティングに異動。その後パートナー向け施策、イベント、トレーニングの企画・運営や、時代に即したプログラム改定等担当。
秋國:ありがとうございます。続いて御社の事業内容についてお聞かせください。
和木:はい、まずはコンシューマーの方をお話させていただきます。弊社では、「ウイルスバスター」という名前で、ウイルス対策製品のパッケージソフト販売から事業を立ち上げております。
現在は、ITが一般家庭で使われています。例えば、パソコンだけでなくスマートフォンの利活用が一般的になっていることが1つの要因として挙げられます。そのような中で、お客様の生活の中でどのようにすればITを安全に利活用できるか、といった所を主眼においたビジネス展開をしております。
秋國:ありがとうございます。それでは、法人向けの事業についてもお聞かせください。
和木:法人の方は、コンシューマーで培ったウイルス対策というところから、いわゆる法人向けのウイルスバスターといった形でスタートしています。
しかし、今ではハッカー(クラッカー)も非常に高度です。さらには、IT製品もパブリッククラウドをはじめ、新しい技術が出てきているので、従来のパソコンやサーバーだけを守る点のセキュリティでは、企業の存続が難しくなります。そこで、我々はサイバーセキュリティプラットフォームという考え方を大きな事業戦略として、法人ビジネスを行っております。
秋國:サイバーセキュリティプラットフォームとは、具体的にどういったものですか?
和木:サイバーセキュリティプラットフォームとは、今まで提供してきた製品からビッグデータを解析し、世の中にないセキュリティリスクまでを可視化したうえで、対策をクラウド側から戻していく仕組みになっています。
既に中に入ってしまっているマルウェアなどは当然検証します。その上で、そのパソコンがアクセスするはずのないサーバーの監視や、メールの中身の分析など総合的に判断をして、取るべき対策を可視化するといったものです。
秋國:ありがとうございます。御社のIRを拝見していると、日本でのコンシューマーと法人の売上比率は同じくらいでしょうか?
和木:売上比率は、コンシューマーと法人でどちらも半々ですね。

秋國:御社の営業組織体制についてお話をおきかせください。
和木:現在は、営業の法人組織を3つにわけています。1つ目は最大手のお客様を担当するアカウントマネジメントのチームです。2つ目は、大規模から中堅まで、いわゆるエンタープライズと言われている層のお客様に対して、ハイタッチでセールスをしていくチーム。3つ目は、SMBのお客様に対して、マーケットを見ながらアプローチをしていくチームです。
1つ目と2つ目の、最大手からエンタープライズ層のお客様に対しては、ハイタッチでご提案をします。そこで獲得した案件をパートナー企業様と一緒に、お客様に対してサービスを提供していきます。
3つ目のSMBのお客様に対しては、パートナー企業様と共に、提案からサービス提供を行います。SMBのお客様は、専門のセキュリティ責任者は当然いませんし、ITの部分に対してナレッジがないことも多いです。どのようなセキュリティ対策が必要であるかという上流部分からご提案し、サービスに落とし込み提供しています。
秋國:ありがとうございます。今お話いただいた部分は、営業部門だと思いますが、パートナー企業様のご担当部門はそこに横ぐしで入る形ですか?
和木:おっしゃる通りです。横ぐしでパートナーアライアンスという部門がありまして、この中に、パートナー企業様を担当するパートナー営業部隊、パートナーマーケティングの部隊の2部門にわかれます。
秋國:なるほど。とくに和木様の所属されているパートナービジネス部は、営業の最大手からSMBの顧客セグメントに対して、横断的に支援する形ですか?
和木:おっしゃる通りでございます。パートナー企業様の希望毎に支援する内容が変わるので、8名のチームで支援を行っています。
秋國:それでは、その8名で各セグメントの顧客の規模のお客様に対する支援の担当を割っているのですか?
和木:顧客セグメントで見るというよりは、パートナー企業様の規模や売上規模、事業内容、得意分野などを少しカテゴライズして、パートナープログラムの形で支援をしています。

秋國:ハイタッチで提案を行って、その後のサービス提供はハイタッチでなくパートナー企業と実施するのはなぜでしょうか。
和木:理由としては、グローバルを合わせた弊社メンバー7000名に対して顧客数が多いため、弊社から直接対応することがリソース的に難しくなったことが挙げられます。お客様の規模が大手になればなるほどきめ細かい要望を頂きますが、1つ1つ対応することが現実的に難しいです。ですので、常にパートナー企業様と共存をすることで、セキュリティマーケットを拡大するという戦略をとっています。
しかし、最近では以前とは変わった2つのことがスタートしています。
1つは、サブスクのマーケットプレイスを開始したこと。2つ目はセキュリティ対策が複雑化したため、顧客サポート部隊を設置したことです。顧客サポートに関しては、パートナー企業様に任せるのではなく、我々が直接サポートをさせていただいています。
秋國:大手様だとCSIRT(セキュリティに問題が起きた時に対応するチーム)などを設置していると思うのですが、それでも賄いきれていないのですか?
和木:賄いきれないですね。もちろん全てがというわけではありませんが、お客様からもベンダー企業のサポートが欲しいというお声をいただいております。
弊社が直接サポートする理由の1つ目は、世界各国に拠点があるため24時間365日、いかなる時でもレスポンスを取れるためです。2つ目は、ログを見て何が起こっているのか分析できる人材がいるためです。やはりAIですべてを理解するのはまだ難しいため、人の目で判断をしなければならない状況が起こるため、ノウハウを持った人材が必要になります。
秋國:なるほど。ちなみに、御社がお客様へ専門家として伴走してサービス提供を行うこともあると思うんですけど、そうするとパートナー企業様に求めている部分はどういったところですか?
和木:1つは我々のサービス製品をお客様のご要望にあわせてしっかりと届けていただくことです。そしてもう1つは、パートナー企業様にも一定レベルのセキュリティサービスを提供いただけるようにご支援をしたいと思っています。私どもが持っているノウハウをパートナー企業様へ伝授させていただくことで、最終的に世界のセキュリティリスクが軽減していくことを期待しています。
秋國:ありがとうございます。他には、御社ならではの強みや他社様との差別化要因とはどういうところですか?
和木:一番の差別化要因は、圧倒的なシェアです。法人向け製品において、国内市場シェア 19年連続No.1を獲得しています。日本独自のデータをベースに分析できるので、日本のお客様に寄り添った精度の高いサービス提供ができます。
また、技術部隊の規模の大きさも強みの1つです。最近出てきている外資の競合ですと、特に技術リソースについて限定的な部分があります。弊社は、日本が本社機構であるのですぐにレスポンス良く対応できるといった違いがあります。

秋國:パートナープログラムが最初にできたのは何年ですか?
石川:2005年です。
秋國:プロダクトの変遷に応じて、パートナープログラムの形を変えてきているのでしょうか。
和木:プロダクトではなくお客様のビジネスモデルにあわせています。現在、物売りからコト売りへという風に、お客様のサービスや提案手法が変わっています。また、クラウドが入ってきた関係で、ライセンスモデルもサブスクリプションモデルになりつつあります。
このような市場の流れにあわせて、パートナー企業様が販売しやすいようパートナープログラムの内容を変えています。
秋國:御社のサービスは、はじめはリカーリングだと思うのですが、完全にクラウドに変えたのは何年のことでしょうか。
和木:本格的にSaaS展開を始めたのが5年前です。
石川:パートナー企業様に対しては、クラウドインテグレーター(CIer)という言葉が出てきた当初、セキュリティ業界としていち早く取り入れる必要があると思い、TREND MICRO Cloud Integratorコンソーシアムを設立しました。
Cloud Integratorコンソーシアムとは、パートナー企業様にお集まりいただきクラウドにおけるセキュリティの情報交換を行う場のことです。そういったクラウド環境におけるセキュリティにおいては、弊社が先んじてパートナー様との関係を持つ、そういう試みを2014年に行っております。
秋國:ありがとうございます。今現在、パートナー企業様は何社ぐらいいらっしゃるものですか?
和木:パートナー企業様の社数は3300社です。NDAを含めた約款という契約書ベースでサインアップを頂いている認定パートナーが2000社になります。認定パートナー2000社の中に、リセラー、クラウドサービスプロバイダー(CSP)、MSP、マネージャーサービスプロバイダー、IoT、流通が含まれています。

参照:パートナープログラムのご紹介(https://www.trendmicro.com/ja_jp/partners/referral-partners.html)
秋國:御社はパートナーポータルを用意されていらっしゃると思いますが、運用はいつから始められたのですか?
石川:パートナーポータルは、2005年のパートナープログラム開始から立ち上げていました。当初は、自社の内製で行っていまして、その後色々な機能の追加が増え、複雑な機能が必要になり、外注している時もありましたね。
弊社は、グローバルに展開していますので日本のパートナープログラムを参考に海外にも展開しています。グローバルに展開するのであれば、ポータル自体も共通のものを使うため、現在は内製化に戻してグローバル統一のプラットフォームで運営をしております。
▼トレンドマイクロのパートナープログラムhttps://www.trendmicro.com/ja_jp/partners/referral-partners.html
秋國:ありがとうございます。現在、Webで拝見できるパートナープログラムはグローバルも共通ですか?
和木:現在は違う点も多いですが、今後共通化できるよう取り組んでいます。
現状でも、共通の部分は当然ありますね。例えば、パートナーランク制度のプラチナ・ゴールド・シルバー・ブロンズという分け方です。一昨年までは、日本にブロンズを設定していませんでしたが、グローバルで先行してブロンズを立ち上げたため、共通化しています。
ただし、ベネフィット提供の中身などの細かい部分は各リージョンで考えて、提供をしているという状況ですね。
秋國:ありがとうございます。このベネフィットの中身というのは、国ごとで違いますか?
和木:そうですね。例えば共同ウェビナーパッケージというものがありますが、これは日本だけです。今までは、マーケットの状況も違いますし、お付き合いしているパートナー企業様の数や種類が違うということで、各リージョンで考えていきましょうという流れでした。
しかし、この1年の中でパートナービジネスの成功事例の体型化が必要だと感じ、グローバルで共有されたナレッジ基盤を作れるように取り組んでいます。

秋國:ありがとうございます。今は、パートナー企業様を積極的に増やそうとしてらっしゃるのか、今のパートナー企業様を活性化させていくのか、どちらに注力されていますか?
和木:現状は、両方を軸に動いています。今、ご登録いただいているパートナー様に対して、よりベネフィットになるサービスを提供していきたいと思っております。
ただ、日本にもITに携わる企業様はまだまだ沢山いらっしゃると思うので、トレンドマイクロと一緒にビジネスをやっていきたいんだ、というパートナー企業様にNOということは一切思っておりません。その結果、年間で約200社ほど認定パートナーが増えています。
秋國:パートナー企業の開拓はどのような手法で進められているのでしょうか。
和木:アウトバウンド・インバウンド両方の施策に取り組んでいます。
アウトバウンドの事例としては、数年前から始めた工場向け・病院向けの専用のセキュリティは、今までお付き合いがないパートナー企業様にアプローチする必要がありました。こういった場合に、パートナー契約がしたい企業様にご訪問をするケースがあります。
秋國:開拓はどなたがメインになってやられているんですか?
和木:実は、私が立ち上げたIoTのBizDevのチームで行っております。「TXOne」や「VicOne」という法人組織をつくって、子会社化してそちらで担いでもらい、顧客開拓を行っています。

秋國:御社のパートナーマーケティングにおいてMDF(パートナー企業のマーケティング活動を支援する資金)に関して、どういった使われ方を普段されているのか、効果的に使うにはどうすべきかについてお聞かせください。
和木:従来は、パートナー様からリクエストをいただいたものについては、基本的にMDFのご支援をさせていただいていました。しかし、今は両者にとってこの活動をすることがプラスになるのか、というのがMDFを最大に使う価値になります。
ですので、弊社のパートナー営業担当とパートナー企業様で、年間もしくは四半期の目標を基に決められたマーケティング企画を、パートナー営業担当からパートナーマーケティングチームにビジネスレビューをするプロセスを用いています。
秋國:実際、MDFにおいてはどういったところにお金を使われることが多いのでしょうか。
和木:イベントですね。イベントを行う為の費用、販促物の作成が一番多いです。2番目は、技術者認定の資格取得です。
秋國:ありがとうございます。パートナー様に対しての支援はかなり手厚くされているのですね。

秋國:最後に、今後の展望を教えてください。
和木:セキュリティビジネスが、非常に複雑で多岐にわたるようになってきたため、ありとあらゆる対策が必要になっています。セキュリティ対策をしていてもインシデント(コンピュータやネットワークのセキュリティを脅かす事象)に遭う可能性があるので、インシデントに遭った際に、収益の減に繋がらない対策が重要です。
となると、パートナー企業様としても非常に提案が難しくなってきている状況であります。
弊社としては、まずパートナー企業様の営業担当、それから技術者の方々に対しての技術支援を提供することで、サービス提供レベルをパートナー企業の皆様と一緒に上げていきたいと考えています。
また、パートナープログラムをグローバルに統一化し拡充していくことによって、パートナー企業様へ提供するご支援の内容やレベルを上げていきたいと考えています。そうすることで、パートナー企業様のセキュリティビジネスのボリュームを増やしていきたいというのが、大きな狙いです。
秋國:ありがとうございます。パートナー企業様の利益を上げるという考えをもとにした、今後の御社のパートナービジネスの取り組みを非常に楽しみにしています。本日は、ありがとうございました。

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