売上9割のパートナーサクセス。全方位に拡販するための戦略とは?【前編】|ワークスモバイルジャパン株式会社
ベンダーインタビュー
パートナービジネス戦略

秋國:皆様こんにちは。パートナーサクセスの秋國です。本日は、ビジネスチャットLINE WORKSを提供されてるワークスモバイルジャパン株式会社様にお話を伺いします。今回インタビューをするのは、執行役員の法人ビジネス本部長 名倉様です。よろしくお願いします。
名倉:お願いします。
秋國:最初に、名倉様より会社の自己紹介をお願いします。
名倉:初めまして。ワークスモバイルジャパンの名倉と申します。弊社は、会社設立は7年前なのですが、6年前からビジネスチャットを立ち上げるということで、「LINE WORKS」という日本市場に特化したサービスを提供しています。LINEは皆さんご存知だと思うのですが、LINE社とは全く別の会社で別のプラットフォーム、別のアプリケーションで日本の法人様向けのサービスを提供しています。よろしくお願いします。
秋國:よろしくお願いします。
ワークスモバイルジャパン株式会社 執行役員 法人ビジネス本部長 名倉 桂吾
2000年大学卒業後、日系Sier、マカフィー、シスコシステムズ等で営業としてエンタープライズビジネス、パートナービジネスに携わる。2016年4月よりワークスモバイルジャパン株式会社に参画。サービスリリース当初より、誰でも使えるサービスを日本中に広げるべく業種・業界を問わない提案活動とパートナー企業の立ち上げに従事。営業マネージャーを経て2021年1月より現職。

秋國:本日はいくつか、プロダクト面やパートナービジネスについてお伺いしたいなと思っています。
最初に、プロダクト戦略についてお伺いします。ビジネスチャットという領域では、ここ最近競合も多く、Microsoft Teams、Slack、Chatwork等ありますが、LINE WORKSのターゲット市場はどういったところになりますか?
名倉:ターゲット市場を分ける際に、企業規模で分けるケースもあれば、業種で分けるケースなど色々あると思います。その中で、我々はエンタープライズもミッドマーケットもSMBもそれぞれどこでも強いんです。
その中でも特に強いところと言うと、現場で仕事をされる方ですね。デスクワーカーよりはモバイルワーカー、あるいは営業さんや販売員さん、現場の作業員さん、アルバイトの方などに非常に馴染んで使っていただいているツールかなと思っております。
秋國:ありがとうございます。これはやはりLINEというアプリがあるからこそ、そのビジネス版という位置付けが大きいのですか?
名倉:そうですね。LINEは普段から使われてる方が非常に多く、LINEのようなインターフェイスで使いやすそうということで、心理的ハードルが非常に低いというのはありますね。
ITツールは、管理者の方から「使用してください」と指示を受けて勉強してトレーニングを受けて使われる、というケースもあると思います。しかし、LINE WORKSはLINEと似ているため非常にハードルが低いので「ちょっと面白そうだから使ってみよう」とか、逆に現場の方が「このツール使いたいんだけど」と社内で上申されてるケースが非常に多いですね。
秋國:ありがとうございます。ここ最近は、CMなどのメディアでお見かけする機会が増えました。そんな中で、パートナービジネスにフォーカスして質問させていただきます。
設立から7年経ち、昨年11月にARR78億に到達されたという記事をnoteで拝見しました。あまり今まで数字を公表されてきてなかったので、国内のSaaSベンダーでもトップクラスですごいなと思いながら拝見していました。直販とパートナービジネスのバランスでいうと、どのような比率でここまで事業を伸ばしてきたのでしょうか?
名倉:設立当初からパートナービジネスにフォーカスしていました。弊社の販路としては、6年前からフォーカスしていたパートナー商流に加え、直販もあります。直販に関しては、自社営業が販売活動するものではなく、オンライン経由のものです。比率はですね、詳細まではお伝えできないのですが、ざっくりパートナービジネスが9割以上だと思っていただければ間違いではないです。
秋國:このバランスはもう当初から変わらずですか?
名倉:当初から変わらず来ているのが現状です。
秋國:ありがとうございます。通常だと最初にプロダクトが出来た時は、まずは直販で市場を検証してみようというケースが多いと思います。しかし最初からもうパートナービジネスを行っていたのでしょうか?
名倉:そうですね。最初のお客様もパートナービジネス経由でした。
秋國:すごい。なぜ最初からパートナービジネスを選択されたのですか?
名倉:そうですね。我々の今のコーポレートミッションを、「47都道府県ではたらくすべての人に『仕事、楽しい』を広げる」と置いています。私は前職が外資系だったのですが外資系ベンダーってまずはエンタープライズを取りに行くと思います。そして、だんだんミッドマーケットやSMBへ進出するのですが、途中で撤退するケースが非常に多いと感じています。あくまで一般論ですが。直販思考がある中でパートナーさんと組んでいくと、合理主義の中で上手くいかないケースが多くあると思います。
我々のターゲットは、エンドユーザーだけ、SMBだけ、などと限定しているわけでは無く、正直言うと全方位です。全方位をターゲットにして、実際に顧客獲得できています。当初から全方位の方に使っていただこうと思っていた中で、エンタープライズだけであれば直販でもいいかなと思っていたのですが、SMB、あるいは地方に行けば行くほど直販では届かないですし、マーケティング活動も届きません。そういった時には、やはりパートナーさんの力を借りていかないと、手出しできないというところで、最初からパートナービジネスを選択しました。我々の営業の数でいうと、今大体30名ぐらいです。
秋國:それはもうパートナービジネスの営業の方ですか?
名倉:いいえ。パートナービジネスが主体ではあるのですが、いわゆるハイタッチ営業も数名います。トータルして営業30名ぐらいです。30名で、全国をカバーすることは、やはり不可能だと思います。当初から営業を何百人にするって言った経営指標では無かったので、パートナーさんとうまくレバレッジしながらやっていこうと動いていました。
秋國:ありがとうございます。最近は地方に拠点を出したり、直販で取りに行く時には各都道府県に拠点を出していくケースもあると思いますが、そこも直販で人を増やすのではなく、パートナーさんの力を借りようと言うことだったんですね?
名倉:おっしゃる通りです。弊社は昨年初めて大阪に拠点を出しまして、この7月から九州の福岡にも拠点を出しておりますが、基本的には直販ではなく、パートナー様の支援をしながら案件をパートナー様にトスアップしたり、あるいはパートナー様からの案件を支援したりという形でやっております。

秋國:ありがとうございます。最近ビジネスチャットで言うとPLG(プロダクトレッドグロース)という戦略で、プロダクトがサービスを売るって言う形が多いと思います。パートナービジネスを行っていく中で、このPLGに関してはいかがですか?
名倉:そうですね。PLGに関して言うと、我々はそこを目指すべきだと思っております。口コミの部分ももちろんそうですし、使ってもらうことでどんどん活用度が上がっていくところも、結果的にそれがパートナーさんに還元されるものだと思っているので、結局は両軸だなと思ってます。
秋國:はい。わかりました。PLGは意識しつつも、やっぱりマーケットを獲得しにいくという意味では、パートナー様で組んでいく方が早いんじゃないかってのもあるのでしょうか?
名倉:そうですね。引き続きパートナービジネスにはフォーカスしていきますし、その上で今のPLGも我々ベンダーが行うマーケティング活動もパートナー様に結果的に還元できるような仕掛けでやっていきたいなと思ってます。
秋國:マーケティング活動って具体的にどういったことをされますか?
名倉:一般的なCMとかですね、交通広告とかあるいはタクシー広告とか皆さんされていると思います。我々が特に力を入れているのが、例えば特に地方に多いんですけども、パートナー様と頑張りたい地域や、力を入れてくれるパートナー様がいれば、メーカーの名前だけでなくパートナー様のロゴも広告に載せるようにしております。
例えば、どこかの地方に行った時にワークスモバイルジャパン株式会社と出しても「どこから買ったらいいんだろう?」と、認知はしてくれてもやっぱり人と人が繋がってないので、なかなかラストワンマイル繋がらないんです。
そこで、「あのCMでやってたLINE WORKSです。」って、普段出入りのパートナー様が紹介してくれるだけで、「あ、CMやってたやつね。」「なんか評判良いんだよね。」「じゃあ、ちょっと使ってみようかな。」みたいな話もあります。他にも、その地方に行けば行くほど、ワークスモバイルジャパン株式会社とかLINE WORKSより、地元のSIer様や、地域商社様の方が知名度が高いので、そういう企業様からの方が信頼度が全然違うと感じます。
秋國:SaaSベンダー様って、マーケティングにかなりコストかけてリード獲得をする、インサイドセールスが架電する、という組織体系が多いと思います。御社のマーケティング活動は、そこで言うThe Modelのような組織ではなく、あくまでパートナー様に対する還元という意味合いですかね。
名倉:はい。今のお話で言うとThe Model的な事も、もちろんやってます。これもやっぱり両軸でして、先ほど申し上げたパートナー様と一緒にダブルネームでマーケティングしていくところにも力を入れています。ただ、メーカーが手動でリードを発掘して醸成したその先は基本的にパートナー様にトスアップしていくんです。
秋國:そうなんですね。エンタープライズ、SMBなどのリードの規模と関係なく?
名倉:はい。エンタープライズからSMBまでです。ただその場合にエンタープライズが得意なパートナー様も居れば、SMBあるいは各地域、各業種が得意なパートナー様も居るので、そこの特性に応じて振り分けながらトスアップさせていただいてます。
秋國:直販で言うと、エンタープライズのお客様はあくまでも自社に来たリードなので、そこは自社でクロージングしよう。そして、事例を作ってその事例を元にパートナーさんにもっと売ってもらう流れも多いかと思います。
特に御社の場合は、卸モデルが多いと思うのですが、その場合パートナーさんにパスしてしまうと目先の売り上げが少し下がると思います。ここを結構懸念するベンダーさんが多くいらっしゃるのですが、ここはどのようにして還元されるんですか?
名倉:自社ではやりません。直販はオンラインダイレクトしかなく、また支払い方法もクレジットカード払いしかないというのもありますので、パートナー様にいかに売っていただくかが重要だと思っています。カニバるのはなかなか良くないなというのと、パートナー様からの信頼度合いにも関わってくると思うので、一言で言うと起爆剤です。目指すのはその先のボリュームになりますので。
秋國:そこは例えばお客様の層のキャズムでいくと、マジョリティ層のお客様って自分で情報取りに行かないことが多いイメージがあるのですが、そのキャズムの先を取りに行くのであればパートナービジネスをやった方がいいかなと思っています。御社のお客様の層でいくと、ITリテラシーやキャズムの先のマジョリティ層で見るとどういうお客様層が多いんですか?
名倉:もちろんアーリーアダプター、マジョリティ、おそらくキャズムで言うと26%超えてると思います。我々が本当に狙ってるのはその先です。レイトマジョリティの層がボリューム的にも多いですし、ツールとしても一番そこがヒットし、競合があまり入ってこないところになります。
秋國:普段あまりこのプロダクトで競合と当たることはないんですか?
名倉:エンタープライズはもちろんあります。特にデスクワーカー、パソコンで使用するサービスとなると、あのTeamsやSlackと当然ぶつかります。ただ現場の人向けであったり、LINEで繋がるんだったらほぼ競合は居ないです。
秋國:そうなんですね。やはりここはポジショニングの確立と差別化ができてるからですね。
名倉:そうですね。あとはエンタープライズからSMBまであらゆる業種の200を超える豊富な事例もあるので、説得力があるのだと思っています。
秋國:そうですよね。顧客規模、エリア、業種、全部に対して横断的にやられてますからね。それだと、パートナー様からしてもかなり力強くどんなお客様にも提案持っていけますね。
名倉:はい、そうですね。「こういったお客様で、こういった規模で、こんな使い方考えてるんだけどなんか良い事例ある?」って言われたら、何か過去の事例が出せます。また、事例化されてなくても営業の中での過去の引き出しからは、「名前は出せないけども、こういうぐらいのお客様で、こんな風に使われてますよ」などのアドバイスはできる状態です。

秋國:ありがとうございます。かなり素晴らしく、理想的な体制を整えられてるなと思います。ただ一番最初のパートナー様を獲得する所が皆さん非情に苦労されているので、そこをお伺いしたいなと思います。一番最初はどのパートナー様と組むべきであったり、インバウンドで取扱いさせて欲しいであったり、このあたりの立ち上げ期って言うと、どんなパートナー様とのコミュニケーションが多かったですか?
名倉:そうですね。パートナー様の具体的な企業名は出せませんが、基本的に最初はアウトバウンドでした。インバウンドももちろんあったのですが、最初の本契約、数社はアウトバウンドです。クラウド業界で名が通ってるところ、あるいはキャリアパートナー様が数社、パートナー様になって頂いてそのあと実績をまず作っていくところからはじめました。
並行して、幅広く行っていく中でかなりインバウンドでのお問合せもいただくようになっていきました。
秋國:最初にアウトバンドで獲得しに行くときは、相性が良さそうなところをリストアップした後にそこに対してアプローチしにいったんですか?
名倉:そうです。我々が意識してるのが、パートナー様のビジネスとどう親和性があるかです。LINE WORKSという商材だけ単品で売れても続かないのと、単価がそんなに高くない商品なのでパートナー様もそれだけだとおいしくはないじゃないですか。
なのでLINE WORKSがあることでパートナー様のビジネスとどう付加価値がっていうところを結構意識した時に「このパートナー様だったら売ってくれるんじゃないか?」とか、「営業人数は少ないけれど、色んなクラウドサービスを扱っていて、且つインテグレートもされているので、一つパーツとしてあるんじゃないか」とか、いろいろ分析したうえでご提案していきました。
秋國:今、商材の単価がそんなに高くないとおっしゃられたじゃないですか。ここも結構ご相談いただくケースがありまして、例えば月額数百円とかだと「単価が安いからパートナーさんが取り扱ってくれないんじゃないか?」とか、いう懸念を感じる方も多くいらっしゃるのですが、ここに関してパートナー様から何か言われることありますか?
名倉:あります。特にパートナーさんの上層部の方から言われることはあります。現場の方は、賛否両方あります。「価格安いから売りやすいね。」って言う方ももちろん多く居ますし「もっと高いもの売りたい。」って現場の方も中には居ます。
経営層になればなるほど、いかに粗利稼ぐかを考えていらっしゃると思うのですが、幸いにして多くのお客様にかなり引き合いもいただいて売れる状態にもなっていったので、やっぱ数、ボリュームが売れています。我々、社内でも業界用語的にもランレートって言い方をよくしてますが、パートナー様にとっても、ランレート的に売れていくような商材にもなっています。なので、あまり手間をかけずにかつ販売された後も手間がかからないので、そういう意味では効率的にパートナー様もやられてるんじゃないかなという気はします。
秋國:単体売りというよりもパートナー様の事業との親和性がかなり重要で、そこの事業にちゃんと合致するかどうかは、かなり普段の提案力が必要ですね。
名倉:そうですね。特に意識しています。新規でパートナー様になってもらう時も、日々QBRや定例のときもそうですが、今パートナー様が何に悩んでて、何が売れていて、何が課題なのかを分かる限りで調べています。パートナー様にも直接聞いたりする中で、売り方を一緒に考えることが可能になってくるので、今パートナー様が何をしているのかは気にしています。
秋國:ありがとうございます。

(後編に続く)

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