日本市場を開拓するためのパートナー戦略。パートナーが実現するカスタマーサクセスとは【前編】|ZVC JAPAN株式会社
ベンダーインタビュー
パートナービジネス戦略

秋國:こんにちは。パートナーサクセスの秋國です。本日は、10年以上に渡って選ばれるコミュニケーションプラットフォームZoomを提供されているZoom Video Communications, Inc.の日本法人、ZVC JAPAN株式会社様にお伺いしています。お話をお伺いするのはパートナービジネス本部 執行役員 本部長の佐久間 圭様です。よろしくお願いします。
佐久間:よろしくお願いいたします。
秋國:最初に、佐久間様より自己紹介をよろしくお願いいたします。
佐久間:ZVC JAPAN株式会社でパートナービジネスを担当している佐久間と申します。主に、日本における販売パートナーの皆様とのビジネスを統括しております。本日はよろしくお願いいたします。
秋國:よろしくお願いいたします。それでは、会社概要もお伺いしてもよろしいですか?
佐久間:我々、ZVC JAPAN株式会社はアメリカのZoom Video Communications, Incの日本法人にあたります。皆様ご存知のビデオ会議「Zoom meetings」の他、「Zoom Team Chat」や「Zoom Rooms」、「Zoom Phone」など、様々なコミュニケーションツールをご提供しております。2018年に日本法人を登記しておりまして、以来4年間順調にビジネスを拡大しております。
ZVC JAPAN株式会社 パートナービジネス本部 執行役員 本部長 佐久間 圭
IT業界で15年以上の経験を有し、国内外の大手IT企業とのパートナーシップやアライアンスの形成に従事。2006年から2017年にかけてシスコシステムズ、2017年からはヴイエムウェアにて大手システムインテグレーター企業とのストラテジックアライアンス部長を務めた。2019年5月にZVC JAPAN株式会社(Zoom)へ入社し、現在、パートナービジネス本部長としてZoomの国内パートナー経由のビジネスを統括している。

秋國:プロダクト戦略についてお伺いしたいのですが、ZoomはPLG(プロダクト・レッド・グロース)型と言われているSaaSで使われるモデルと、SLG(セールス・レッド・グロース)型というモデルの2つが比べられることが多いかと思います。私もずっとZoomを使ってますし、フリープランで使っている方も多く、PLG型のSaaSというイメージを持たれることが多いかと思います。一方で、UCaaS(ユニファイド・コミュニケーション・アズ・ア・サービス)と言われている部分においては、SLG型で取り組まれているとお見受けしておりますが、このあたりの位置付けについてはどうお考えですか。
佐久間:そうですね。秋國様におっしゃっていただいた通り、元々はフリーミアムモデルのソリューションです。今では無償で40分使っていただける「Zoom meetings」を提供しておりますが、元々それ以上の機能を使いたいという方に購入いただくフリーミアムモデルに関してはPLG型のアプローチをしていました。
今おっしゃっていただいたSLG型の観点では、特に大企業のお客様や、たびたび中小企業のお客様に対して、我々が営業としてしっかりと提案する必要がある場合には行っています。潜在的なニーズを掘り起こして、使い方について提案が必要な時には、我々営業が直接ご提案を差し上げて、お客様の案件をクローズするアプローチをしておりますので、どちらの側面もあると思います。
秋國:結構ハイブリッドな取り組みなんですね。
佐久間:そうですね。おっしゃる通りです。
秋國:SLG型はおっしゃっていただいたように、直販で取り組まれるような意味合いが強いかなと思います。御社の場合、日本の売上の過半数はパートナービジネスで販売されていると伺っています。外資系のSaaSベンダー様は、日本展開においてパートナービジネスを主流で展開されてると見受けられるのですが、実際にこの辺りはいかがですか?
佐久間:はい。当然、我々に限りませんが、圧倒的に販売パートナー様が日本のユーザー様との接点をお持ちなんですよね。特に大企業のお客様であれば、システムの全てをSIer様にお任せをしていますケースもありますし、中小企業様であってもIT商材はまとめてこの会社様から購入するというような、昔から口座を持った状態で取引をされているケースが多いです。外資系が最初に日本に上陸し、お客様を知らない中でPLG型でお客様を開拓するのではなく、お客様を直接知っている会社様のお力が必要になってくると思います。
秋國:一見、Zoomはフリーミアムでも利用できたりと、顧客が簡単に扱うことができるので、SIer様が介在する必要はないのでは無いようなイメージがあるのですが、パートナー様の介在余地は大きいのでしょうか。
佐久間:大きいです。外資系のサービスであるためオンラインで買うという手段もあるのですが、そのためには、会社の法人カードを使って買うケースや、海外送金をして直接契約いただくケースになります。オンラインで対応していただけるお客様は、ダイレクトで契約をしますが、先ほども申し上げたように、大企業のお客様との取引のあるSIer様や、中小企業のお客様がIT商材を全てまとめて購入している販売パートナー様から、日本円で販売いただけるところがパートナー様の存在意義の一つなります。
もう一つは、複雑な製品でインテグレーションが必要なケースは、販売パートナー様にご協力頂く必要があります。弊社は「Zoom meetings」というビデオ会議でご認識いただいていますが、実は「Zoom Rooms」と言われる室向けの端末や、日本にも既に上陸している「Zoom Phone」といわれるクラウド型のPBXも提供しており、それを構築する作業は実は我々には出来ません。そのため、パートナー様にベンダーとして、現地のインテグレーションを行っていただく必要があるので、SaaSのライセンスを提供しお力添えをいただく必要があります。
秋國:私も「Zoom meetings」は日頃から使わせていただいていて、操作がすごく簡単だなと思ってました。ですので、SIer様が構築をするようなイメージがなく、多くの方もそういうイメージを持っているのではないかなと思ってます。今おっしゃったような「Zoom Rooms」や「Zoom Phone」など、御社の中で様々なソリューションが増えてきて、このあたりでパートナー様に構築のためにも入っていただくのが非常に強いんですかね。
佐久間:強いですね。しっかりと技術力を付けていただくために、我々も会社としての認定制度をお届けしています。認定を取っていただいた暁には、「Zoom Rooms」や「Zoom Phone」をお客様にご提供いただけるということになっております。
秋國:パートナー様のお取り扱いとしては、やはり「Zoom meetings」をまず初めにお客様に販売したいという声が大きかったですか。
佐久間:やはりそうですね。2年前にコロナの時代に突入したとき、とにかく「Zoom meetings」の需要が上がりましてユーザー様が日本でも増えたんですよね。現在はパートナー様と一緒に、「Zoom meetings」をお使いいただいているお客様に対して、「Zoom Rooms」や「Zoom Phone」をアップセルをすることにより、パートナー様にも収益を上げていただくということにフォーカスしてます。
秋國:「Zoom meetings」が最初に広がったので、パートナー様はここに対するアップセルをご一緒されることが多いということですか。
佐久間:おっしゃる通りです。

秋國:ちなみに、パートナービジネスでの売上が過半数を占めるというのは日本特有かなと思ったのですが、3月ごろにZoom UP Partner Programを公開されてることをお見受けしました。これは、グローバルの取り組みかと思うのですが、日本とグローバルのパートナープログラムの違いであったり、日本にローカライズしているようなところはございますか。
佐久間:日本でもグローバルと同じく展開しているのが、パートナー様の認定制度です。認定制度というのは、パートナー様がどれだけZoomに投資していただいてるか、案件をどれだけ成約いただいているかという観点で、レベルの高い方であればあるほどベネフィットがちゃんと受けられる仕組みになっています。その点は全く日本では変えてません。
また、リファラル(紹介)制度、つまりパートナー様に案件を紹介していただき、成約するのは弊社自身というのは、日本の商習慣には合わないため展開していません。
秋國:海外だとリファラルパートナーがすごく多いイメージがあります。私達が日頃いろんなSaaSベンダー様からご相談いただくと、リファラル・卸の2つの制度を持っていることが多いなと感じているのですが、リファラルパートナー様だと、御社の日本のパートナー様ではあまり合わないといったご判断ですか。
佐久間:そういう判断ですね。なぜかというと、リファラルは顧客を紹介していただくとそれで終わってしまうからです。顧客接点の観点で、お客様に対してサービスをお届けし保守もちゃんと付けてケアをする、というのが日本のパートナービジネスであると思っています。その中で、紹介をすれば紹介料が入るのみ、なってしまうと顧客からのベンダーへのコミットメントは低くなってしまうと思うんです。なので、SaaSであれば導入後しっかりと定着化させる作業も必要ですし、先ほども申し上げた保守や、何かあった時にちゃんとテクニカルサポート行うというモデルを重視したかったので、私個人としてはリファラルはやらないという判断です。

秋國:ありがとうございます。すごい興味深いご意見、ご判断ですごい良いなと思います。ちなみに先ほどランクを設定されてるというお話がありましたが、どの段階からこのランクを設定されたのですか?
佐久間:まさに、今年の9月から設定しております。ランクは、いわゆるカタカナで「コンピテンシー」と置き、それぞれの分野におけるパートナー様の強みを認定条件としています。コンピテンシーの例としては、先ほどの「Zoom Phone」や「Zoom Rooms」の認定を持っているかやカスタマーサクセスを実施しているかなどが挙げられます。
SaaSにおいて大事なポイントで、パートナー様にはどのようなコンピテンシーをいくつ持っているかによって、ランク付けをさせていただいています。かつ営業面で言うと、先ほど申し上げた通り今までどれだけの案件を成約いただいてるか、案件を登録いただくシステムでどれだけ積極的に新規案件を登録いただいてるか、などで総合的に評価をしています。
秋國:最初は、ランク制度というものはなく、フラットにお取り扱いいただいてたんですか。
佐久間:そうですね。私が着任して3年半が経ったのですが、当時はすべてのパートナー様がフラットでして、どれだけサポート体制を構築していていただいてる方でも、ディスカウント率がほとんど変わらない状態でした。今後、「Zoom Phone」や「Zoom Rooms」のような新しい世界に行く上で、ランク制度は強いパートナー様とエンゲージメントを深める取り組みのひとつだと私は思います。
秋國:ランク制度やコンピテンシーを整理された理由やタイミングは、どういったものだったのですか。
佐久間:「Zoom meetings」はグローバルにユーザー様が増えて来ています。それだけでなく、UCaaSのベンダーとして、一つのプラットフォームで全てをお届けするという世界観でご提案してますので、一緒にご提案していただけるパートナー様を育てましょうというのがメッセージでありタイミングだったと思っています。
秋國:パートナープログラムというのは最初にランクを決めるべきなのか、やりながらタイミングを見ながらブラッシュアップをしていくのが良いのか、みなさま悩まれています。貴社では3年程やってみてから、一気にガラッと変えたというところですね。
(後編に続く)

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