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【IR資料から読み解く】ARR前年比+40%のアライアンス戦略。外部連携による事業領域・顧客基盤の拡大|株式会社マネーフォワード

【IR資料から読み解く】ARR前年比+40%のアライアンス戦略。外部連携による事業領域・顧客基盤の拡大|株式会社マネーフォワード

2022.7.4

  • 決算・IR情報

  • アライアンス戦略

上場企業のIRを読み解くと、売上のトップラインを伸ばすための打ち手を考察することが可能です。本記事では、株式会社マネーフォワードの代理店戦略について読み解いていきます。

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株式会社マネーフォワードのビジネスとは?

株式会社マネーフォワードは、SaaS×Fintechの領域でBtoB・BtoC双方に向けたプロダクトを提供しています。上場後は、新規事業開発とM&Aにより事業領域を拡大しており、個人向けの家計簿管理から法人向けのバックオフィスSaaS、マーケティング支援などを行っています。

2021年11月期通期決算説明資料によると、グループ全社のSaaS ARRは前年同期比+33%の約112億円です。直近では、更に成長を加速させ、40%を実現しています。

ちなみにARRが100億円を超えているSaaS企業には、Appier Group(158億円)、株式会社ユーザベース(129.5億円)、freee株式会社(145億円)などがあります。数あるSaaS企業の中でトップレベルの売上を誇る同社は、どのように売上を拡大しているのでしょうか。

中堅企業開拓のためのパートナービジネス

上記は、株式会社マネーフォワードのBtoBサービスにおけるセールス&マーケティング戦略です。ユーザーの特性に応じて、サービスを適切な販売方法で展開しており、中堅企業へは直販・パートナーセールスにより顧客獲得を行っていることが読み取れます。

Money Forward クラウドのサービスサイトでは、製品の再販・取次を行う販売店を募集しています。先日、パートナーサクセス社とのインタビューでは、以下のように述べられていたことから、直販では届かない顧客へアプローチし、キャズムを超えるための施策としてパートナーセールスを行っているようです。

感度の高いお客様や「クラウドに興味があります」といういわゆるアーリーアダプター層がうちのサービスに問い合わせいただいている状態です。マジョリティの部分で「キャズムを超える」みたいなのがあると思うんですけど、あれに関しては完全に「パートナー様の後押しが必要だな」と個人的には思っています。

ですので、(パートナービジネスで狙う層は、)「誰かの後押しで、うちのサービスに興味を持っていただけるような方」っていう風にある程度ふんわり定義をして、最終的にはお客様が望む方法で提供すれば「それはそれでうちとしては良いよね」っていう考えです。直販でも代理店様から購入でも、「お客さんが望む方でいきましょう」というのは、会社としては統制が取れてます。

士業事務所と連携し中小企業のDX推進

Money Forward クラウドは公認メンバー制度を設けています。本制度により、士業事務所は新たな収益源が確保でき、中小企業は長期的な付き合いがある士業事務所の支援によるDX推進が可能となります。

マネーフォワード株式会社としても、製品導入の際「誰から購入するか」を大切にする中小企業に製品導入をしてもらいやすくなるため、メリットの大きい施策といえます。

士業事務所の中でも職種別に細かくランク制度を設けています。昇格すれば報酬が増えたり、加盟金・年会費・加盟条件を設け細かく精査していたりと、積極性に応じてインセンティブを支払う設計であることが特徴です。

2021年11月期通期決算説明資料によると、国内従業員の規模で上位100の会計事務所のうち、約70%の会計事務所が「マネーフォワード クラウド会計」を導入しています。顧客基盤を抱えている会計事務所と協力することで、全国各地の中小企業への製品導入を効果的に進めているようです。

M&Aによる事業領域拡大

先述の通り、マネーフォワード株式会社はM&Aにより事業領域を拡大しています。M&Aの目的を更に詳しくみていくと、以下の3つに分けられます。

①プロダクトラインナップの拡充
②TAMの地理的拡大
③TAMの事業領域拡大

それぞれ詳しく見ていきます。

①プロダクトラインナップの拡充の例として、2021年11月にグループジョインしたHiTTO株式会社が挙げられます。本連携により、従業員の質問の自動応対が可能になるため、社内からの問い合わせに対応する人事労務担当者の業務の効率化と、従業員側の「社内では聞きづらい」という課題解消が可能になります。

また、クロスセルやHiTTO事業の人事労務以外の領域拡大が推進されるため、双方にとって大きなシナジーが生まれる施策です。

②TAMの地理的拡大の例として、インドネシアでバックオフィス向けSaaSを提供するMekari社への出資が挙げられます。2018年のシリーズAラウンド以降、複数回戦略的な出資を実行しており、マネーフォワード株式会社CEOの辻庸介氏がMekari社の取締役も務めているようです。

インドネシアにおけるクラウド市場は年平均25%で成長し、2025年には8億米ドル規模と予測されています。今後も市場拡大が見込まれるインドネシアへの進出も視野に入れた施策に今後も注目です。

③TAMの事業領域拡大の例として、2019年にグループジョインしたスマートキャンプ株式会社挙げられます。本連携により、従来のバックオフィスSaaS領域に加え、SaaSマーケティング領域に事業領域を拡大することで、潜在市場を1兆円から1.9兆円へと約2倍に拡大しました。また、両社の顧客基盤やノウハウ、経営人材を相互活用することで、シナジーの創出を狙っています。

2021年11月期通期決算説明資料によると、BtoB事業の売上高推移の中でスマートキャンプ社が前年同期比+65%と高成長を牽引していることから、実際に連携による大きなシナジーが生まれていることが分かります。

まとめ

マネーフォワード株式会社は、ターゲットを明確にした上で直販・パートナービジネスの棲み分けを行うことで、マジョリティ層にも販路を拡大させています。また、士業事務所との連携やM&A戦略など、双方に大きなシナジー効果が生まれるアライアンスにより、高い成長率を生み出し続けているようです。

上手く外部と連携し、顧客基盤・事業領域を拡大している同社のパートナービジネス・アライアンスには目が離せません。

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